スレート屋根のひび割れ補修や塗り替え時期をプロが解説します
2022.09.23
スレート屋根は安価で扱いやすいことから人気の屋根材です。
スレート屋根の主なメンテナンス方法は補修や塗装、葺き替えやカバー工法などの方法があります。
今回の記事ではそんなスレート屋根についてのメンテナンス方法や費用についてをご紹介していきます。
目次
1章目:スレート屋根とは?
スレート屋根は薄い板状の屋根材を並べて作られています。
そんなスレート屋根には粘板岩を使用して作られた天然スレートとセメントを主成分とした化粧スレートがあります。
天然スレートは耐久性も高く色褪せない性質がありますが、価格がとても高い上重量もあるので、住宅の屋根としてはほとんど使われていません。そのため住宅に使用されるのは化粧スレート屋根になっています。
そんな化粧スレートの種類とメリット・デメリットについてご紹介します。
1.化粧スレートの種類
化粧スレートは形状や厚さによって4つの種類に分けることが出来ます。
1-1.平型スレート
平型スレートは現在の一般住宅に多く使用されている屋根材です。コロニアルやカラーベストなどが含まれます。
安価で施工性にも優れているため、多くの住宅で使用されていますが、汚れが付着しやすく割れやすい傾向にあるため定期的にメンテナンスが必要になります。
1-2.厚型スレート
セメントと砂を混ぜて、厚みを持たせ瓦のような形状にしたものを厚型スレートと言います。主にセメント瓦などがこれに含まれます。
さらにセメント瓦屋根の中には、ヨーロッパ発祥のモニエル瓦という屋根材があります。モニエル瓦は近年、洋風の住宅に多く使用されている瓦になります。
モニエル瓦は表面にセメントの粉が薄く吹き付けてあるスラリー層という層があります。モニエル瓦を塗装メンテナンスする場合は、劣化したスラリー層の上から塗装をすると塗膜密着の妨げになるので、塗装する前にできるだけ劣化したスラリー層を取り除く必要があります。
厚型スレート屋根は塗膜が剥がれてしまうとセメントの主成分であるカルシウムが流れてしまい、ヒビや割れの原因になるので注意が必要です。
1-3.波型スレート
波型の形状をした化粧スレートです。主に工場などの鉄骨造の屋根に使用されます。波型スレートの下には野地板のような下地材はなく、長い波型スレートを屋根の傾きに沿って貼っていきます。
1-3.石綿スレート
石綿とはアスベストのことです。20年前くらいまではスレート屋根の耐久性を高めるために、発がん成分であるアスベストが使用されていました。しかし、粉塵が呼吸器障害を起こすため公害であるとされ、2004年からは製造・使用が中止されています。
〈注意〉
スレート屋根は劣化すると表面が脆くなる性質があります。そのため石綿スレート屋根の劣化を放置すると風でアスベストが飛散してしまう可能性があります。
さらに石綿スレートを塗装メンテナンスする場合、塗装する前に必ず行う高圧洗浄で屋根材の表面を削ってしまい、空気中にアスベストが飛散してしまう危険があるため注意が必要です。
塗装以外の工事としてはアスベスト除去作業を行った後に屋根材を撤去して新しい屋根材を葺く葺き替え工事や既存の屋根の上に新しい屋根材を葺くカバー工法工事などが挙げられます。
お家の屋根がスレート屋根で2004年以前に製造されたものである場合は、石綿スレート屋根である可能性が高いので一度塗装業者に相談してみましょう。
2.化粧スレートのメリットとデメリット
2-1.メリット
①安価で施工できる
スレート屋根は他の屋根材などと比べると価格が安いのがメリットの一つです。
施工に必要な部材がスレート以外ほとんどないため、費用を抑えて施工することが出来ます。
そのため一般住宅には取り入れやすく、人気があります。
②施工しやすい
スレート屋根は軽量で加工もしやすいので、簡単に施工しやすい屋根材になります。
屋根材の中でもメジャーであるスレート屋根はほとんどの業者が施工をすることが出来ます。メジャーであるからこそ経験や知識の多い業者がたくさん存在するので、屋根の取り付けだけでなくメンテナンスまでも安心して施工を任せることが出来ます。
さらにスレート屋根は複雑な施工は不要なため、施工期間や施工費用も抑えることが出来ます。
③軽くて建物に優しい
スレート屋根は比較的軽量なため、建物への負担が少なくなります。
地震が起きた際の耐久力は建物の重心によって左右されます。屋根が軽くなり、重心が低くなることで揺れの力を軽減することが出来ます。
④デザインが豊富
スレート屋根には豊富なカラーバリエーションがあるため、お好みの色で屋根を仕上げることができます。複数の色を選択しておしゃれな雰囲気のデザインにすることもできます。
2-2.デメリット
①メンテナンスが必要
スレート屋根はスレート自体に防水性がないため、定期的な塗装によるメンテナンスが必要になります。スレート屋根を生産する際に塗装が施されていますが、紫外線や雨風などの影響により塗装が剥がれてきてしまいます。塗装が剥がれてしまうと水を吸い込み、雨漏りなどの原因になるため、注意が必要です。
②ひび割れが起きやすい
スレート屋根は塗装が剥がれてしまうと水を吸い込みやすくなってしまいます。
水を吸い込み、水分が蒸発し、吸収と乾燥を繰り返すことでひび割れが起きてしまう恐れがあります。
さらにデザインで切り込みの入っているものはさらにひび割れやすくなります。
③藻や苔が付着しやすい
スレート屋根の表面はデコボコとしているものが多いため、その隙間に水が溜まりやすく藻や苔が発生しやすくなります。さらに藻や苔は水分を含みやすいためそこから劣化が進んでしまいます。
藻や苔は日光の当たりづらい北側に多く発生しやすいため注意が必要です。
④アスベストに注意が必要
2004年よりも前に設置されたスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があります。アスベストは石綿とも呼ばれていて発がん成分のある物質です。屋根の撤去や解体をする際にはこのアスベストが飛散しないように注意する必要があります。
2章目:スレート屋根がひび割れる原因は?
スレート屋根はひび割れが起きやすいといったデメリットがありますが、ひび割れは以下の原因により起こりやすくなります。
1.経年劣化
スレート屋根は時間が経つにつれてひび割れが起きてしまいます。スレート屋根の塗装が剥がれ、水分の吸収と乾燥を繰り返すことによりひび割れが発生しやすくなります。
経年劣化によるひび割れを防ぐためには定期的な塗装メンテナンスが必要となります。
2.飛来物や踏みなどの衝撃
強風や台風などにより飛んできた石や木などのものがスレート屋根に当たることでひび割れが生じることがあります。
さらに塗装などのメンテナンスを行う際に屋根の上に乗った際、スレート屋根が脆かった場合は簡単にひび割れが生じてしまいます。
3.アンテナや太陽光などの重さ
スレート屋根全体が脆くなりすぎると、アンテナや太陽光などの重さでひび割れが生じてしまうこともあります。
3章目:スレート屋根の寿命は何年?
スレート屋根の耐用年数の目安は10〜30年程度です。
定期的にメンテナンスを行っているスレート屋根であれば比較的長持ちさせることが出来ます。
そして何より、スレート屋根の耐久性は製造された時期とアスベストが含まれているかで変化します。 スレート屋根の耐久力を高めるために使用されているアスベストですが、このアスベストを含んでいるスレート屋根は耐用年数が長い傾向にあります。
しかしアスベストには発がん成分が含まれていることが分かり、健康被害の問題から2004年以降はアスベストを含むスレート屋根の製造が禁止になりました。
アスベストが問題視されるようになった1990年〜2000年代に建てられたスレート屋根のお家は、ノンアスベストである可能性が高く、寿命が短いものがほとんどとされています。
しかしこのノンアスベストの寿命が短い製品は2008頃までで販売が中止になりました。現在は高耐久のスレート屋根が流通しています。
もしもお家がスレート屋根でアスベストに不安の方はプロの業者にしっかりと調査をしてもらった上でメンテナンスをするようにしましょう。
4章目:スレート屋根のメンテナンスのサインと時期とは?
スレート屋根は塗装による定期的なメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスを怠り、劣化したままの状態を放置してしまうと塗装以外の工事も必要になってしまい結果的にメンテナンス費用が高くなってしまうことにもなります。
これから紹介する屋根の劣化についてを参考に、屋根の塗装メンテナンスのサインを逃さないようにしましょう。
1.藻や苔の発生
スレート屋根表面のデコボコの隙間に水分が溜まると藻や苔を発生させてしまいます。
藻や苔が発生すると白く汚れたようになります。
そのまま放置すると美観性も悪く、屋根が腐食し雨漏りの原因にもなるため早めのメンテナンスが必要です。
2.色褪せ
スレート屋根の色褪せがみられたら、劣化のサインです。
色褪せはすぐには住宅劣化には繋がりませんが、色褪せをそのまま放置すると表面を保護している塗膜の効果が切れてしまい水弾きも悪くなってしまっています。
屋根に色褪せや艶が無くなってきたと感じたら、このタイミングで塗装メンテナンスの検討をしてみましょう。
3.屋根材の割れや欠け
スレート屋根は薄く成形された屋根なので、硬いものなどが強風などにより衝突するとひびが入ってしまったり欠けたりしてしまいます。ヒビや欠けが小さければコーキングで補修することもできますが、ヒビや欠けの範囲が大きかったり複数箇所に多く見られるようであれば、葺き替え工事やカバー工法工事などが必要になります。
4.屋根材の反り
コロニアルが雨水などの水分を吸収するようになると湿潤と乾燥を繰り返し、徐々に反り返ってしまうことがあります。
屋根材が反り返ると表面の塗装の効果は完全に切れてしまっていることになるので、早急に塗装などのメンテナンスが必要になります。
さらに屋根材の反りを放置してしまうと少しの力が加わっただけで割れてしまう状態になってしまいます。この状態まで劣化が進んでしまうと塗装をするための上に乗っただけでも割れてしまうこともあるため、葺き替え工事やカバー工法工事などが必要になってしまうことが多いです。
手遅れになる前に反りが見られたらなるべく早めに塗装をするようにしましょう。
5.棟板金の劣化
スレート屋根は屋根材の固定や頂上の隙間を埋めるために棟板金が設置されている物があります。
この棟板金は釘で固定されている場合、経年劣化や熱膨張により徐々に緩んできてしまい、棟板金が浮いてきてしまいます。棟板金が浮いてくるとその隙間から雨水が侵入して雨漏りの原因になったり、強風で棟板金が吹き飛ばされてしまう恐れがあります。
棟板金は定期的に点検を行い、浮きが見られれば釘を打ち直したり、コーキングで固定するなどのメンテナンスが必要です。
5章目:スレート屋根の補修の費用相場は?
スレート屋根は様々なメンテナンス方法があります。
いざメンテナンスをするとなった時にどんなメンテナンス方法があるのか、またその費用感についてご紹介していきます。
1.部分補修
部分的な劣化であればその部分だけを補修することでトラブルを防ぐことが出来ます。
1-1.コーキング補修
スレートの軽度な割れやヒビはコーキングで補修します。
その際に雨水などが流れるのに必要な隙間を埋めてしまわないように注意が必要です。
費用の目安としては3~5万円程度で、施工する量によって異なります。
1-2.部分的に貼り直し
スレート屋根は一枚のスレートを少しづつ重ねて固定しているため、割れや欠けが見られている場合はその部分を切り取ってから新しいスレートを貼り付けて補修を行います。
施工には足場の設置が必要になるため、10〜50万円程度になります。
1-3.板金補修
板金は釘で止められているため、釘が緩み板金が浮いてきてしまっている場合は釘の打ち直しが必要になります。板金のサビや腐食による劣化の場合は板金自体を交換する必要があります。
釘の打ち直し程度であれば数万円〜、板金全体の交換工事であれば15〜30万円ほどかかります。
2.屋根塗装
水分を吸い込みやすいスレートを保護するためにスレートの表面を塗装します。
しかし劣化が下地まで進んでしまっていたり、塗装のために屋根の上に登っただけで屋根が割れてしまう場合は塗装での補修は不適切です。
屋根塗装の費用は使用する塗料の性能やグレード、塗装面積などによって異なりますが、一般的なシリコン塗料であれば50〜80万円程度で施工することができます。
3.カバー工法工事
屋根のカバー工法工事は既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工事です。既存の屋根に防水シートを貼り、その上に屋根を重ねていきます。
既存屋根の撤去費用や手間がかからないため、工事期間や費用を抑えて施工することが出来ます。
費用は大体80〜130万円ほどです。
4.屋根葺き替え工事
葺き替え工事はその名の通り、既存の屋根材を全て撤去して新しい屋根材を設置していく方法です。費用は高くなってしまいますが、ひどい雨漏りなどが発生している場合は問題の解決に繋がります。
費用は150〜200万円ほどで、またそれ以上かかることもありますが、今後のメンテナンスが減ることを考えると長期的にみて、葺き替え工事の方がお得な場合もあります。
アスベストが使用されているスレート屋根を撤去する際は細心の注意が必要です。
撤去の際に粉塵が待ってしまうと健康被害に繋がるため、必ずアスベスト屋根に対応した業者へ依頼するようにしましょう。
6章目:スレート屋根の補修を任せられる業者の選び方
スレート屋根補修をする際にまず1番初めにやることは業者探しです。
せっかくお金をかけて屋根の補修工事を行うのであれば、優良な業者さんへ依頼したいと思うのは当たり前です。
ここでは安心してスレート屋根補修を任せることのできる業者の選び方についてご紹介します。
1.屋根や外壁などの専門業者であるか
一口にリフォーム会社と言っても、その専門分野は様々です。例えばキッチンやお風呂などの水回りを得意とする会社や、お庭などの外構工事を得意とする会社などそれぞれ得意な分野があるはずです。
特に屋根や外壁の補修においては劣化状態や不具合箇所の特定、お家への被害をなくすための解決策のご提案など、専門的な知識と技術が必要になります。
専門業者であるかないかで、仕上がりの差や今後のお家の耐久性などに違いが出ると言っても過言ではありません。
屋根の補修を依頼する際は屋根補修の知識や技術を持った専門業者であるか、しっかり確認しておくようにしましょう。
2.施行事例やお客様の声を確認する
屋根補修を依頼しようとしている業者が安心して任せられる業者かどうかを判断するために、施工事例やお客様の声を確認してみましょう。業者のホームページなどで簡単に確認ができるはずです。
施工事例やお客様の声は過去の実績やお客様からの評価を知ることができ、工事に対する姿勢やお客様に対してどのような対応をしてきたのかを確認することができます。
安心して確かな工事を依頼するためにも、施工事例やお客様の声は一度確認してみるようにしましょう。
3.現地調査で担当者を確認しましょう
屋根補修を行う際には必ず現地調査で建物の調査をします。
現地調査の際にその会社の担当の方が来るはずなので、
・約束通りの時間に来てくれたか
・被害箇所だけでなく建物全体の状態を調査してくれたか
・写真などでお家の状態を詳しく説明してくれたか
・信用できる対応をしてくれたか
など、その会社の担当者の方と会うことができれば相性や信頼性などを直見て、感じることが出来ます。
現地調査で担当者と直接会って、対応の仕方等を確認するようにしましょう。
4.保証があるか確認しましょう
どれだけ信頼できる業者に依頼をしたとしても、何か不具合が生じてしまう可能性も残念ながらゼロではありません。
こう言った際にしっかりとした対応をしてくれる保証が準備されているかどうかが、優良な会社を見極めるための材料の一つになります。保証内容は会社や工事内容によって異なりますが、お客様の不安に寄り添える体制がしっかりと敷かれているかを確認しましょう。
さらにリフォーム瑕疵保険登録会社であるかどうかも確認してみましょう。
リフォーム瑕疵保険とは工事に何かしらの欠陥があった場合に第三者の機関が保証をしてくれるという保険制度です。保険法人の厳しい審査を通過した業者のみが取り扱うことのできる保険となっています。
会社として万が一の場合に対する姿勢を、業者選びの判断基準としてしっかりと確認しましょう。
7章目:まとめ
いかがでしょうか。
スレート屋根は多く普及しているので、お家がスレート屋根の方は多いのではないでしょうか。スレート屋根は定期的にメンテナンスを行えば長持ちさせることのできる屋根材です。
メンテナンス方法も様々ですので、自分のお家がどのようなメンテナンスが必要であるのかはしっかりと専門業者に確認してもらうようにしましょう。業者選びは慎重に今回ご紹介したことを参考に行うようにしましょう。
株式会社タクトは屋根や外壁のメンテナンスを専門的に行っております。
もちろん専門的な知識や技術、資格等もございます。施工事例やお客様の声等はホームページにも掲載しておりますので、ぜひ参考までにご覧ください。
建物診断・お見積もりは無料で行わせていただきます。もちろん弊社以外でも他の塗装会社様のお話も聞いてみてください。せっかくの塗装工事ですので慎重に業者選びをされることをおすすめします。
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皆様からのご連絡お待ちしております。