コンクリート壁の塗装時期・相場・補修方法についてプロが解説!
2022.12.21
コンクリート壁は仕上げ方によって表面に独特の質感があり、高級感のある雰囲気になります。
さらにコンクリート壁は頑丈で耐久性も高く安心できますが、定期的な塗装メンテナンスは必要になります。
そんなコンクリート壁を塗装する際はどのような塗料を選べば良いのか悩む方は多いはずです。今回はコンクリート壁の塗装メンテナンスについて塗料選びのポイントや費用などをご紹介していきます。
目次
1章目:コンクリート壁に求められる塗料の機能とは?
まずはコンクリート壁を塗装する塗料について、どのような機能が求められるかを説明していきます。コンクリート壁塗装の塗料には耐候性、防水性、透湿性の3つの機能が求められます。
1.耐候性
耐候性とは雨や紫外線などの環境要因に対して、劣化や変質を起こしづらい性質のことを言います。耐候性が高い塗料は自然環境においての劣化が起こりにくいため、長持ちさせることができるということになります。
塗料の耐候性が高いかを判断する基準として、促進耐候性試験の結果を確認する方法があります。促進耐候性試験とは、人工的に屋外の環境を再現して劣化を促し、製品の寿命を予測する試験のことです。促進耐候性試験の結果が長いほど耐候性が高い塗料ということになります。
その他にも塗料のパンフレットでも確認することができます。
2.防水性
コンクリート壁の弱点として雨に強くないという点があります。雨に長期間さらされたコンクリート壁は表面がポロポロと剥がれてしまうことがあります。
さらにひび割れが発生すると水が侵入して雨漏り発生のリスクもあります。
そのため、コンクリート壁を塗装する際の塗料はひび割れに追従するように柔軟性と防水性の高い塗料を使用するのがおすすめです。
3.透湿性
透湿性とは湿気を通して水を遮断する機能のことです。
液体と気体である水の粒子の大きさを利用することで透湿性を発揮することができます。
透湿性のある塗料で塗装することでコンクリート内部の湿気を徐々に外へ抜くことができるため、塗膜内部の湿気が原因で起こる塗膜の膨れや剥がれなどを防ぐことができます。
2章目:コンクリート壁の種類とは?
コンクリート壁は水、セメント、砂、砂利で作られています。
コンクリート壁のメリットとデメリットについてと、種類についてをご紹介します。
1.コンクリート壁のメリット
1-1.遮音性が高い
木造の住宅と比べるとコンクリート壁のお家は外からの音を遮ったり、室内の音が外へ漏れにくいといったメリットがあります。
聞こえる音や発する音に敏感に気を使わなくても良いのでストレスフリーな生活を送ることができ、また近隣トラブルの防止にも繋がります。
1-2.耐火性が高い
コンクリートは1000℃の熱にさらされても燃えにくく変形もしづらいため、コンクリート壁のお家は火に強く、万が一火事が起きても燃え広がるスピードは遅いです。
そのためコンクリート造りのお家は火災保険料が木造と比べて安くなる傾向があるようです。
1-3.オシャレな外観になる
仕上げ方によってはモルタル外壁のようなものもありますが、打ちっぱなしコンクリート壁の場合、高級感がありオシャレな外観に仕上げることもできます。
コンクリート壁は定期的なメンテナンスを行うことで綺麗な状態を維持することができます。
2.コンクリート壁のデメリット
2-1.ひび割れが起きやすい
コンクリートを作る際の水の量を誤ると硬化不良によりひび割れの原因になってしまいます。
また地震などの揺れにより建物に強い負荷がかかった際にもひび割れが生じることがあります。ひび割れが生じると表面のコンクリートが剥がれてしまったり、雨水が侵入してしまう恐れがあるため、コンクリート壁のひび割れは早期発見・早期補修が大切になります。
2-2.表面にシミが出やすい
コンクリート壁は水分を吸収しやすい性質があります。
コンクリート壁が水分を吸収すると苔やカビが発生したり、空気中の汚れを含んだ雨によりシミができてしまうことがあります。
表面をしっかりと塗装のより保護しておくことで、水分の吸収を防いで綺麗な状態を維持することができます。
2-3.夏は暑くなりやすく冬は寒くなりやすい
コンクリート壁は熱伝導性が高いため、夏は室外の暑さ、冬は室外の寒さが部屋の中にはいってきやすい傾向にあります。
断熱材があれば快適な温度を保つことができますが、コンクリート壁の内部に断熱材を入れると結露しやすいという欠点があります。
コンクリート壁を断熱材で覆う外断熱が使用されることが多いですが、打ちっぱなしのデザインにしたい場合は断熱材でデザインが隠れてしまいます。しかし近年では打ちっぱなしのデザインを塗装で表現することができるため、コンクリート壁でも快適に過ごせる方法はあります。
3.コンクリート壁の種類
一口にコンクリート壁といっても表面の仕上げ方により種類があります。
ここではコンクリート壁の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。
3-1.打ちっぱなし
打ちっぱなしという種類はコンクリート壁の中でもオシャレで高級感があります。
コンクリートがそのまま外壁のデザインになり、表面を仕上げる必要がないため仕上げに撥水剤を塗ることが多いです。
コンクリート壁は水分を吸収しやすい性質があるため、表面に撥水剤を塗っておくことで雨水を弾いて表面に汚れが付着したりシミが出来るのを抑えることができます。
3-2.塗装仕上げ
コンクリート壁の表面を塗装したり様々な方法で模様を作っているものを塗装仕上げと言います。
コンクリート壁の中にはモルタル外壁のような見た目のものがあります。これはコンクリート壁の表面にモルタルを塗って、吹き付けや塗装により仕上げています。表面のデザインはモルタル外壁と全く同じに仕上がります。
コンクリートの質感が隠れてしまうので、コンクリートの雰囲気をあまり出したくない方におすすめです。
3-3.タイル貼り
コンクリートの表面に粘土状のモルタルを塗って、さらにその上からタイルを貼り付けているコンクリート壁になります。
使用するタイルの色や質感などで様々なデザインに仕上げることができます。
コンクリートは見えなくなってしまいますが、タイル張りの外壁になり打ちっぱなしとはまた違ったオシャレさを出すことができます。
3章目:コンクリート壁に起きる劣化現象とは?
コンクリート壁は頑丈ですがコンクリート壁ならではの劣化現象があるため、お家がコンクリート壁の方は次にご紹介する劣化現象を参考にしっかり確認してみてください。
1.汚れの付着や変色
まずは汚れの色を確認してみましょう。
汚れの色ごとで原因が異なるので、色ごとに分けてご紹介します。
1-1.緑色の汚れ
汚れが緑色であるのは藻や苔が付着してしまっている状態です。
コンクリートは水分を吸収しやすく、雨が降らなくても空気中の湿気を含んでしまうため水分が多くなってしまいます。
藻やコケは水分の多い場所を好むためコンクリート壁は藻や苔が繁殖しやすい傾向にあります。定期的にお手入れを行えば綺麗な状態を維持することができます。
1-2.黒色の汚れ
黒色の汚れですがこれはカビの発生や空気中の汚れが雨水と一緒に付着する雨だれが原因で起こります。塗膜の機能が低下していくことで、排気ガスや汚れた空気が雨水に溶け込んで壁に付着し黒いシミ状になってしまいます。
1-3.白い汚れ
エフロレッセンスと呼ばれる真っ白な汚れが出てくることがあります。
これはコンクリート壁ならではの汚れで、コンクリート内のカルシウム成分が水分と一緒に表面へ流れ出てしまう現象です。
エフロレッセンスには発生方法により一次と二次の2種類に分けられます。
一次エフロレッセンス
一次エフロレッセンスはコンクリートの内部にあった水分と共にカルシウム成分が表面へと流れ出て、その後に水分が蒸発することでカルシウム成分が白く現れる現象です。
二次エフロレッセンス
二次エフロレッセンスはもともとコンクリートの中に無かった雨水などがひび割れやコンクリート表面を流れてコンクリートないのカルシウム成分が雨水と一緒に表面へ移動し白くなって現れる現象です。
二次エフロレッセンスは雨水がひび割れの内部を通ることで起きているため内部の鉄筋に雨水が触れてしまっている可能性がありサビが発生している可能性があります。そのため二次エフロレッセンスは白い汚れとともにサビを含んだ茶色い汚れも付着していることもあります。
内部の鉄筋がサビてしまっている場合はコンクリート壁全体が危険な状態になっているので、エフロレッセンスの状態をしっかりと確認することが大切です。
2.ひび割れ
コンクリート壁はひび割れがとても起きやすい傾向にあります。
細いひびの場合、外壁がくすれてしまうなどの構造上には問題ありませんが外観が気になってしまいますよね。
太くて深いひび割れはコンクリート壁内部の鉄筋までひび割れが届いてしまっている可能性もあります。そうなるとひび割れから侵入した雨水が鉄筋をサビさせてしまい、コンクリート壁が崩れてしまう恐れもあります。
コンクリート壁に起きるひび割れには様々な原因によって種類がありますので、ひとつずつご紹介していきます。
2-1.乾燥ひび割れ
乾燥ひび割れはコンクリートの中の水分が失われていくことによって起こります。
コンクリートを作る際にはセメント・砂・砂利・水が混ざり、セメントと水が反応を起こすと固まります。段々と固まるにつれて水分は蒸発していきますが、この時に水分が失われた分、コンクリートが縮まるのでひび割れが生じます。
2-2.沈下ひび割れ
沈下ひび割れはコンクリートが固まっていく最中に起こり、工事後すぐに発生することが多いです。
コンクリートを枠型に流し込み固まる際に余分な水分は上へ移動してきますが、砂や砂利、鉄筋の下に引っかかってしまい、水分を含んだまま固まってしまうと起こるひび割れです。
鉄筋の影響を受けやすいため横向きのひび割れになりやすく、さらに鉄筋に水分が触れ続けてしまうため鉄筋がサビてしまいひび割れから茶色いシミが流れ出てくることもあります。
コンクリートを作る際の水分量を最小限にしたり、水や空気を抜く作業をしっかり行うことで沈下ひび割れを防ぐことができます。
2-3.中性化
コンクリートは二酸化炭素に触れると性質が変わります。
二酸化炭素に触れた箇所がどんどん広がりコンクリート内の鉄筋まで届くと鉄筋がサビ始めてしまいます。
鉄筋はサビることにより膨張してしまうのでコンクリートの内部から押し割ってしまいます。この現象を中性化と言い、もともとアルカリ性だったコンクリートが中性に変わることにより起きるひび割れです。
2-4.アルカリ骨材反応
アルカリ骨材反応は亀の甲羅模様のようなひび割れが生じます。
骨材とはコンクリートの材料である砂や砂利のことで様々な種類があります。
骨材の中にコンクリートに含まれる成分と特殊な化学反応を起こすものがあります。この反応により骨材が膨張してひび割れが起きてしまいます。
2-5.凍害
凍害は寒い地域のコンクリート壁に起こりやすい現象で、気温の差によって発生します。
コンクリートに含まれた水分が寒さによって凍ったり溶けたりを繰り返すことで、膨張してコンクリートにヒビが発生してしまいます。
凍害も亀の甲羅模様のようなひびになります。
2-6.塗膜やタイルのひび割れ
コンクリート壁を塗膜やタイルで守っていても、コンクリート自体のひび割れが表面に影響することもあるので注意が必要です。
また、塗装仕上げの場合は塗膜にひびが入っただけだ、と安心してそのままにしておくと塗膜のひびから雨水が侵入してコンクリートのひび割れを招いてしまう恐れもあります。
そのため、表面にひびがみられたら早めに専門業者へ相談することが大切です。
3.サビ
コンクリート壁は必ず内部に鉄筋が入れられます。
しかし鉄筋にはサビという弱点があります。サビにも様々な原因があるのでここでご紹介していきます。
3-1.塩害
塩害は海沿いのお家に起きやすい現象で、海水の塩分を含んだ空気がお家に付着して、金属がサビてしまったり塩分によりできる白い結晶が固まって付着してしまいます。
コンクリート壁の表面からだんだんと海水の塩分が浸透していき鉄筋まで届くとサビが発生してしまう可能性があります。
3-2.中性化
ひび割れについてでもご紹介した通り、アルカリ性のコンクリートが中性に変わることで鉄筋にサビが生じてしまいます。
空気中の二酸化炭素がだんだんとコンクリート内部へ浸透し鉄筋に触れることで中性化が進んでしまいます。
4章目:コンクリート壁用塗料について
ここではコンクリート壁用塗料について種類と特徴をご紹介していきます。
1.撥水剤
撥水剤は水を弾くことができるため、コンクリート壁を劣化させる要因の一つである雨水の吸収を抑えることができます。
撥水剤は透明なので見た目を変えずに雨水の吸収を抑制することができ、汚れも定着しにくく水で洗い流すだけで落ちやすくなります。
しかし他の塗料と比べて耐用年数がやや低く、また透明であるため下地補修を行った場合の補修後がそのまま残ってしまうといった点には注意が必要です。
2.カラークリヤー塗料
カラークリヤー塗料はコンクリート壁の表面を保護するために塗布する塗料です。
撥水剤とは違い、下地の色を目立たなくすることができ、クリヤー層が表面を保護することで耐候性が高くなります。
クリヤーの工程が増えるので少々割高にはなってしまいますがコンクリート壁の表面に保護層を設ける事が出来るため建物自体を保護する事が出来ます。
3.弾性塗料
弾性塗料はひび割れに対してとても有効な塗料です。
伸びる塗料のためひび割れに塗膜が追従する事が出来ます。ひび割れの表面化を防ぐ事ができるため雨漏りの発生を防ぐ効果があります。
しかし撥水剤やクリヤー塗料と違い色付きの塗料で塗りつぶしてしまうためコンクリートの風合いは消えてしまいます。
5章目:コンクリート壁の塗装にかかる費用相場は?
コンクリート壁の塗装にかかる費用相場は使用する塗料や劣化具合によって異なります。
塗装工事の専門業者からは様々な塗料の提案をされると思いますが、価格のみで塗料を選ぶのには注意が必要です。
価格が安いプランは安い分、耐久性や性能が劣る可能性があります。せっかく塗装工事を行ったのにまたすぐに再度塗装が必要になり塗装工事の頻度が高くなるとその分費用も高額になってしまいます。
塗料の耐用年数や性能、また施行業者が本当に信頼できるか?などしっかりと考えてから塗装工事を依頼することが大切です。
6章目:コンクリート壁に発生する【ひび割れ】と【サビ】は要注意!
コンクリートを守るためにはひび割れとサビの発生をしっかりと防ぐ事が何よりも重要になります。ひび割れを防げはサビの発生防止になり、サビを防げばひびの発生防止にも繋がります。
コンクリート壁には元々ひび割れ対策がされているものもあります。
例として縦横に線状のへこみを作ることでその部分にひびが起きるようにされている誘発目地などがあります。板チョコに手で簡単に割れるように凹みがあるのと同じように、誘発目地を作る事で狙った箇所にのみひび割れを発生させる事が出来ます。誘発目地はひび割れ補修がしやすく、目地に沿って補修を行うので補修の跡が目立ちにくいといったメリットもあります。
7章目:コンクリート壁の塗装をプロに相談するメリットとは?
近年ではDIYが流行っていますがコンクリート壁の塗装はDIYで行うよりもプロにお任せする方が良いでしょう。
確かにDIYは塗料代と材料代のみで済むので安く行うことが出来ますが、その一方でリスクもあるということを理解しておかなければなりません。
DIYのリスクとして以下の点が挙げられます。
・プロが行うのではないため仕上がりが汚くなる可能性がある
・高所は足場を組み立てる必要がある
・専門知識がないため、塗装後の不具合が生じる可能性がある
DIYではイメージしていた通りの綺麗な仕上がりにならない可能性があります。また、しっかりと安全面を考慮して作業を行わないと事故等の危険性も高くなります。そして何よりも専門知識が少ないため塗装後は綺麗な仕上がりになったとしても、すぐに不具合が生じて再度補修が必要になってしまう場合もあります。
これらのリスクを考えると専門知識もあり安全に塗装工事を行うことのできるプロに依頼するのが良いと言えるでしょう。
8章目:まとめ
いかがでしょうか。
コンクリート壁はオシャレな雰囲気に仕上がるので人気な外壁の一つですが、ひび割れが生じやすいため定期的なメンテナンスが必須になります。コンクリート壁の塗装は難しい点も多いので塗装工事を依頼する際にはどのような劣化状況なのか、どのような塗料を使用するのか慎重に確認する必要があります。
株式会社タクトでは住宅の専門知識や経験、技術を兼ね備えた塗装のプロ軍団です。
お家の劣化について少しでもお困りの事がありましたら、お気軽にお問い合わせください。建物診断・お見積もりは無料で行わせていただいております。
塗装会社はたくさんありますので各社のお話を聞いてしっかりと検討してみてください。その中でタクトをお選びいただき、お客様に満足していただければ光栄です。
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皆様からのご連絡お待ちしております。