屋根断熱のメリットと屋根リフォームの費用相場をプロが解説します
2022.10.20
現在お住まいのお家が「夏は暑く、冬は寒い」と感じる場合、遮熱・断熱リフォームを考える方も多いのではないでしょうか。
遮熱・断熱リフォームは光熱費削減にも繋がるため、適正な方法を選んでからリフォーム工事を行う必要があります。
今回の記事では遮熱・断熱リフォームについてのメリットや特徴、費用相場についてご紹介していきます。
目次
1章目:断熱と遮熱なにが違うの?
「遮熱」と「断熱」。この2つは言葉の響きは似ていますが、それぞれの効果や施工方法は全く異なります。
まず「断熱」は熱を伝わりにくくすることを意味します。
夏場は外の暑さが室内に伝わりにくいため室内は涼しく、逆に冬場は室内の暖かさを外へ逃しづらいため室内の暖かさを保つことができます。
さらにエアコンの効きもよくなるため、省エネ効果が期待できます。
次に「遮熱」は熱を発生する太陽光を反射することで温度上昇を抑制します。
建物に太陽光が当たり続けると、建物の表面が暑くなりそこから室内の温度が上昇します。建物表面の温度上昇を抑えることで、室内が暑くなるのを防ぐことができます。
快適な暮らしを実現するためには「断熱」が必須になります。断熱効果があることで、室内の温度を一定に保つことができるため、一年を通して効果を発揮することができます。
一方「遮熱」は夏の強い日差しなどによる温度上昇を防ぐのに有効的です。
このように「断熱」と「遮熱」には全く異なる効果があるため、しっかりと目的にあった方法でリフォームを行うことが大切です。
2章目:屋根を断熱リフォームするメリットとは?
快適な暮らしを送るために屋根の断熱・遮熱リフォームをお考えの方も多いと思います。
屋根を断熱・遮熱リフォームする際のメリットをご紹介します。
1.屋根裏の空間を活用できる
屋根断熱は屋根の傾斜に沿って断熱材を入れて施工するため、屋根裏の空間を有効的に活用する事ができます。
屋根断熱をすることにより屋根裏の空間も他の部屋と同じ室温や環境にする事ができるため、屋根裏でも苦なく過ごせるようになります。
また、天井をなくして吹き抜けにすることもできます。吹き抜け天井は開放感があり、部屋が広く見える効果もあります。
屋根の断熱・遮熱を行うことにより室内のデザインの幅も広がり、快適な空間を作ることもできます。
2.屋根下の暑さ対策ができる
屋根に断熱・遮熱リフォームすることで屋根下の暑さ対策にも効果を発揮します。
天井断熱の場合は天井と屋根の間に熱がこもりやすくなり、夏は2階の部屋が暑くなりやすくなってしまいます。
屋根断熱の場合は、温められる空気の幅は25mm程度なので熱空気の影響はほとんどありません。
夏場の暑さ対策には屋根断熱が効果的です。
3.開放的な室内にすることができる
屋根断熱にすることで、吹き抜けやロフトなど、空間を有効活用する事ができます。
狭い土地にお家を建てた場合でも、天井を高くしたりする事で開放的な空間に見せることができます。そのため、最近では屋根断熱にする住宅が増えてきています。
天井をなくして開放的な空間にしたいのであれば屋根断熱の採用をおすすめします。
3章目:屋根を断熱リフォームするデメリットとは?
メリットばかりの屋根断熱ですが、デメリットもあります。
1.結露により構造部が腐食してしまう恐れがある
天井断熱の場合は換気口を設置して屋根裏を換気することができますが、屋根断熱は屋根に断熱材をつけているため特に換気は必要ではありません。
しかし室外と室内との温度差により結露が発生してしまうことがあります。高断熱で高気密な住宅は湿気や結露等による侵食のスピードが早いため注意が必要です。
結露の発生を防ぐためには、換気をして湿度を高めないようにしたり、雨漏りを発生させないことが重要です。
2.長期工事や断熱材で費用がかかる
屋根は天井よりも面積が広いため長期的な工事になり、コストがかかってしまうこともあります。
さらに面積が広い分、多くの断熱材が必要になることもコストアップの原因になります。
4章目:断熱・遮熱塗装は効果あるの?
屋根や外壁を断熱・遮熱塗料で塗装することでも効果を感じる事ができます。
ここでは断熱塗料のメリットとデメリット・遮熱塗料のメリットとデメリットについてをご紹介します。
1.断熱塗料のメリット
1-1.室内温度を快適に保てる
断熱塗料は熱移動を防いでくれる塗料なので、夏でも冬でも快適な室内温度を保つ働きを持っています。
夏は外の温度の影響で室内温度が上昇するのを防ぐ役割があり、逆に冬は室内温度の熱を外に逃さないで保温してくれる役割があります。
1-2.光熱費削減の効果がある
断熱塗料により夏は涼しく冬は暖かい室内に保つことができるので、エアコンやヒーターの使用頻度を減らす事ができます。その結果、節電対策となり光熱費を削減する事ができます。
1-3.音を小さくする効果がある
断熱塗料は複数のセラミックで覆われているため隙間がなく、一般的な塗料より塗膜表面が厚くなっています。
塗膜は表面が厚いほど効率的に音を反射する事ができるため、断熱塗料で塗装した建物は音漏れを防いでくれるのです。
また、断熱塗料はセラミックの効果により音の振動を小さくする働きもあるため、音の振動を吸収する事で音を小さくする事ができます。
1-4.結露発生防止の効果がある
結露は暖かい空気が冷たい壁に触れることで発生し、カビやダニの発生原因になるので家の劣化を早めてしまいます。
断熱塗料で塗装した屋根や外壁は表面温度の低下を防ぐことができるため、結露の防止効果があります。
2.断熱塗料のデメリット
2-1.費用が高い
断熱塗料の1番のデメリットとしては他の一般的な塗料よりも費用が高いという事です。やはり特殊効果のある塗料の費用は高くなってしまう傾向にあります。
しかし、耐用年数や断熱塗料の効果での光熱費の削減のことを考慮し、長い目で見ると経済的な塗料でもあるといえます。
2-2.効果の実感を感じれない場合がある
断熱塗料は非常に高機能な塗料といえますが、全ての家に十分満足な効果が得られるというわけではありません。
部屋が暑くなってしまう原因は一つだけではなく、全ての原因を防止することはできないのです。
さらに近年は断熱材が使用されている住宅が多くなってきており、断熱材を使用したお家は断熱塗料の効果を感じられない場合があります。
5章目:断熱リフォームの方法と費用相場は?
断熱リフォームにはいくつか種類があります。ここでは断熱リフォームの方法と費用相場についてご紹介します。しかし屋根材や断熱の厚みなどにより金額は異なりますので、あくまで目安としてお考えください。
1.断熱塗料を屋根に塗装する方法
断熱塗料は熱を伝わりにくいので、熱の移動を防ぐ事ができ、保温効果があります。そんな断熱塗料でお家を塗装することにより、室内と室外の温度差を減らすことができます。
夏は外気の暑さが室内に伝わりにくいため室内は涼しく、冬は室内の暖かさを外へ逃しづらいため室内の暖かさを保つことができます。そのためエアコンの効きもよくなり、省エネ効果が期待できます。
その他にも防音効果や結露の発生を抑える効果もあります。
屋根塗装には塗料代・足場代・工事代が必要になります。断熱塗料は一般的な塗料と比べると費用はやや高くなる傾向があります。
屋根のみの塗装で50〜100万円ほどが相場と言われていますが、塗装面積や屋根材、使用する材料などによっても異なりますので、詳しい金額は業者へ見積もりの依頼をしてみるようにしましょう。
2.屋根材を葺き替える方法
現在の屋根を撤去し新しい屋根材に葺き替える際に、断熱材を設置したり厚みを持たせる方法があります。
葺き替え工事は建物の寿命が長くなり耐震性もあげることができますが、費用が高くなってしまいます。
葺き替え工事の費用は約60〜200万円ほどで、さらに屋根断熱で約20〜60万円ほどかかります。
断熱方法には「外張り断熱」と「充てん断熱」の2種類があります。それぞれの断熱方法についてご紹介します。
1.外張り断熱
外張り断熱は建物の柱の外側に断熱材を貼る方法です。断熱材は建物全体を囲うようになるため、高い断熱効果を発揮します。
外張り断熱には湿式工法と乾式工法とがあります。
湿式工法は断熱材をコンクリートに接着させるタイプの工法で、乾式工法は支持金具を取り付けてから断熱材をつけていく方法になります。
外張り断熱は柱の外側に断熱材を貼っていくため断熱効果が高く、壁内部の結露の心配がありません。しかしコストがやや高くなってしまうのと、確実な施工を行わないと断熱材や外壁がずれてしまうといった危険もあります。
2.充てん断熱
充てん断熱は垂木と垂木の間に断熱材を詰めていく方法です。主に木造住宅に使用されます。
外張り断熱よりコストが安く、外からの影響を受けにくいため劣化しにくいといったメリットがありますが、外張り断熱と比べて隙間ができやすく、建物の構造によっては施工しにくいといったデメリットもあるので注意が必要です。
3.カバー工法工事をする方法
カバー工法工事は既存の屋根の上にルーフィングシート(防水シート)と新しい屋根材を被せていく方法です。
既存の屋根を撤去する手間がないため、費用は約80〜150万円程度になります。
断熱材入りの屋根材を使用することで、断熱効果を高めることができます。
しかしカバー工法工事を行うことで屋根が二重になり、建物全体の重さも増えてしまうので注意が必要です。屋根が重くなると重心が不安定になってしまいます。
カバー工法を行っても問題ないか、しっかりと専門の業者に確認してもらうようにしましょう。
4.屋根の裏側に断熱材を充填する方法
屋根の裏側、屋根裏の方から断熱材を充填する方法があります。
しかし一言で屋根断熱といっても様々な素材があります。
ここでは屋根断熱によく使用される断熱材の4種類をご紹介します。
1.無機繊維
無機繊維は無機物を繊維状にした断熱材で生産性が高く安価なので、材料費をなるべく抑えたい方におすすめです。
代表的な材料はグラスウールと呼ばれるロックウールなどがあります。
無機繊維のメリットとしては防音性と防火性に優れている点です。
デメリットとしてはホルムアルデヒドという有害物質が多少ですが含まれていることです。あまり心配はありませんが、敏感な体質の方の中にはシックハウス症候群を引き起こしてしまう恐れがあります。
アレルギー等の心配がなくコストを抑えたい方におすすめです。
2.天然繊維
天然繊維は有機物を使用した断熱材で高い防音性が期待できます。
代表的な材料はセルロースファイバーなどがあります。
天然繊維は中に空気の小さな粒があるため、防音性や吸湿性に優れています。防音性があれば近隣への生活音を抑えることと外からの騒音も防ぐことができます。さらに吸湿性が高いため、湿気や結露などによる腐食も防ぐことができます。
天然繊維には有害物質が含まれていないのでアレルギーが心配な方や敏感な体質の方も安心です。
しかし無機繊維より費用が2〜4倍になってしまいます。
3.発泡プラスチック
発泡プラスチックはプラスチックを発泡させて気泡を作り出す断熱材です。
代表的なものは硬質ウレタンフォームやビーズ法ポリスチレンフォームなどが挙げられます。
発泡プラスチックは湿気を抑える効果があり、さらに軽くて薄いため効率的に断熱することができます。
費用は無機繊維の2倍ほどで素材の種類によっては燃えた際に有害物質を発生させるものもあります。
6章目:屋根断熱リフォームに補助金は使えるの?
お住まいの自治体によっては、屋根断熱リフォームに補助金が使えることがあります。
補助金の金額や申請の条件などは自治体によって様々ですが、補助金を利用することができればリフォーム費用を節約することができます。
補助金の申請条件の中には指定された断熱材を一定量使用する必要があるものや、施工前後の写真を取る必要があるものなど、様々な条件がある場合があります。
リフォーム工事を始める前に業者にその自治体の補助金についての概要を確認するようにしましょう。
7章目:屋根断熱リフォームを専門の業者に依頼すべき理由とは?
屋根断熱リフォームを行う際は必ず専門的な知識を持った専門業者に依頼するようにしましょう。
屋根断熱リフォームを業者へ依頼する際の注意点をご紹介するので、参考にしてみてください。
1.複数業者に見積もりを依頼する
屋根断熱リフォームを業者へ依頼する際は1社だけでなく複数業社に見積もりを依頼するようにしましょう。1社のみだと他との費用やサービスの違いに気づくことができません。
複数業者へ見積もりを依頼することで、施工内容や費用などを比較することができます。
しかし複数業者から見積もりをとった際に、価格だけで業者を選ぶのはやめましょう。あまりに安すぎる業者は手抜き工事をされてしまう可能性もあるので注意が必要です。
2.自宅に適した断熱方法を選ぶ
費用や保証の内容も大切ですが、しっかりと自宅に適した断熱方法でリフォームを行うことが何よりも大切です。
自宅に適した断熱リフォームを行わなければ、断熱効果を発揮することはできません。
さらに自宅に適さないリフォームを行うことにより、新たな不具合が生じてしまう原因にもなります。
どんな断熱リフォームが適しているのか、理由等も含めて依頼する業者にしっかりと確認するようにしましょう。
3.換気扇で断熱性を高める
熱のこもった空気は屋根裏から室内へ流れ込んできます。そのため屋根裏の換気がされていないと夏などは特に室内が暑くなってしまいます。
断熱工事を行う際は換気扇の設置も同時に行うと良いでしょう。
見積もりの段階で、この換気扇についての提案があればいくつもの工事を行ってきたプロと言えるでしょう。しっかりと換気をすることで夏の暑さや冬の結露を防止することができ、建物の構造の腐食防止にも繋がります。
業者に見積もりを依頼した際にはこの換気扇についても確認してみましょう。
8章目:まとめ
いかがでしょうか。
屋根断熱は室内を快適にすることができ、メリットも多くあります。
しかし、お住まいの自宅に合わせて適正な断熱リフォームを行わなければ逆にお家の劣化を進めてしまう恐れもあります。
断熱リフォームを検討している方は、今回ご紹介した断熱リフォームの方法や費用等などを参考に専門業者へ依頼してみてください。
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