FRP防水のメリット・デメリットは?施工相場などについてプロが解説
2023.02.02
ベランダやバルコニーの防水工事を行う際に「FRP防水」とはどのような工事なのか、費用はどれくらいなのか、悩む方も多いと思います。防水工事は住宅を雨漏りから防ぐための大切な工事の一つです。
今回はFRP防水についてメリットやデメリット、費用相場について詳しくご紹介していきます。
目次
1章目:FRP防水とは?
1.FRPとは
まずはFRPについてご説明します。
FRPとは「繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」のことです。
軽量で弾性率が小さく強度の低いプラスチックに弾性率の大きいガラス繊維などの強化材を混ぜることで強度を高めた複合材料です。
住宅の防水に使用されるFRPはガラス繊維を混ぜたプラスチック樹脂で白いシートのような見た目が特徴です。
FRPは軽く、耐久性、耐衝撃性、耐摩耗性に優れているため、建築資材や家庭浴槽、ボートやスキー用品など様々な分野で使われています。
2.FRP防水とは
FRP防水とは、コンクリートや木で作られた床の上にFRPのシートを敷き、その上に樹脂を塗って効果させる防水方法です。
硬化後プラスチックのような硬さの床面になります。さらにそのままでは紫外線に弱いため、トップコートという塗料を重ね塗りして保護します。
FRP防水は住宅のベランダやバルコニー、屋上などに幅広く利用されています。
3.FRP防水の工程
FRP防水の工程は下記の通りです。
1.防水面の清掃
2.下塗り材(プライマー)塗布
3.シート状のFRPを敷く
4.ポリエステル樹脂で固める
5.トップコート塗布
通常はFRPを敷く作業とポリエステルで固める作業を2〜3回行い、防水層を形成します。
FRP防水の工事は1〜2日で済むのも特徴の一つで、防水工事の中でも短い工期となります。
2章目:FRP防水を行うメリットとデメリットとは?
続いてFRP防水についてのメリット・デメリットをご紹介します。
1.メリット
1-1.防水性が高い
FRP防水はFRPシートを敷いてからさらにその上から樹脂でカバーするため、非常に水を通しにくく高い防水性を保つことができます。
そのためプールやボートなどにも使用されています。もちろん一般住宅のベランダやバルコニーの防水にも十分な防水性を発揮することができます。
1-2.とても丈夫
FRP防水は繊維強化プラスチックを使用しているため、耐荷重性・耐摩耗性に優れていて、衝撃に強いです。
FRP防水を施工した防水面は、基本的に歩行や車の走行にも耐えることができます。そのため人や車の往来が多い屋上駐車場にも使用することができます。
1-3.とても軽量
FRP防水は1平米あたり4kg前後と、他の防水層と比べても非常に軽量です。
そのため築年数が経ったお家のベランダなど、重さに弱い住宅にも使用することができます。
1-4.工期が短い
FRP防水は塗膜の乾燥を待つ時間が少ないのもメリットの一つです。
乾燥待ちが必要なトップコートの樹脂も数時間で乾燥することができます。
そのためFRP防水の工事は1〜2日程度で完了します。
2.デメリット
2-1.費用がかかる
FRP防水は防水性や耐久性に優れており、施工しやすいメリットがある分、工事の費用はウレタン防水やシート防水などの他の防水工事と比較すると高くなります。
2-2.施工できない場所がある
FRPは伸縮性が低いため歪みが生じやすい箇所への施工は避ける必要があります。
例として木造の広い面積のベランダや鉄の下地、雨漏りが続き傷んだ下地などはFRP防水を施工すると熱や温度などの影響によりひび割れが起きてしまう可能性があるので注意が必要です。
3章目:FRP防水が向いているケース
先ほどご紹介したFRP防水のメリット・デメリットを元に、FRP防水が向いているケースをまとめました。FRP防水が向いているのは以下のケースの方です。
・防水性と耐久性の高さを重視している
・できるだけ工期を短くしたい
・費用がやや高くなっても良い
費用がかかっても防水性と耐久性を重視して防水工事を行いたい方はFRP防水がオススメです。
4章目:FRP防水の施工費用相場は?
FRP防水の施工単価は1㎡あたり約5,000円〜8,000円で、一般的な広さのベランダで約10~15万円ほどです。
しかし、実際にかかる費用は業者によって異なるので、見積もりの際は内訳をしっかりと確認するようにしましょう。
5章目:FRP防水工事以外の工事方法とは?
防水工事にはFRP防水工事以外にもいくつか方法があります。
ここではFRP防水以外の防水工事についてご紹介しますので、FRP防水工事との違いもチェックしながらご覧ください。
1.ウレタン防水
ウレタン防水工事はウレタン樹脂を液体状にして塗装し、防水層を作る工事方法です。
耐久性や耐摩耗性にも優れているため、ベランダや屋上の防水工事に向いています。
液体の防水材を使用するため、施行箇所の形状を問わずに施工することができ、防水層につなぎ目がないため、防水性が高くなります。
しかし施工は職人が手作業で塗装をするため工期が長くなってしまうのがデメリットです。さらに職人の腕によって仕上がりに差が出てしまうため、工事を依頼する際は施工経験が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
2.シート防水
シート防水はゴム製や塩化ビニルシート製のシートを使う防水工事です。
接着剤で施工する「接着工法」とビスで施工する「機械的固定方法」があります。
シートを被せることで防水層を作る工事なので基本的にはどのような下地にも施工することができます。また、施工もしやすいので工期も1〜4日と短めに済みます。
しかしシートを貼るのが難しい複雑な場所や表面に凹凸があるような場所には施工が難しく、施工箇所に限りがあります。
3.アスファルト防水
アスファルト防水は防水シートと溶解したアスファルトを交互に施工して防水層をつくる方法です。
何層にも重量のあるアスファルトを施工するため、建物への重さによる負担を考慮しなければなりません。
6章目:FRP防水の劣化を示す症状とは?
FRP防水は定期的に観察し、劣化していないかを確認するようにしましょう。劣化する前に定期的にメンテナンスをすることも大切です。
FRP防水の劣化症状や補修方法、メンテナンス方法をご紹介します。
1.FRP防水の劣化症状
1-1.表面に剥がれがある
FRP防水は表面に剥がれがあると防水層が直接ダメージを受けてしまうので注意が必要です。一部であればトップコートを再塗装することで防水層を守る事ができますが、全体的に剥がれが見られる場合は下地に何らかの不具合が生じている可能性があるため、早急に専門業者へ見てもらうようにしましょう。
1-2.表面が変色している
紫外線や雨の影響、日常的に人が歩いたり物を置いていたりなどの摩擦により、少しづつ表面が剥がれていきサビのような色が表面に現れる事があります。
漏れは摩擦と経年劣化によりトップコートが剥がれてしまい防水層が見えてしまっている状態です。
このまま放置すると劣化がさらに進んで雨漏りの原因になってしまうので、早めに業者に相談するようにしましょう。
1-3.表面のひび割れ
防水表面に細かくて薄いひび割れが複数ある場合は、トップコートにひび割れが生じている可能性があります。
トップコートはFRP防水を紫外線や雨から守るためのものなので、劣化の初期症状として現れます。急いで補修を行う必要はありませんが、あまり放置をしないようにしましょう。
2.FRP防水の補修方法
2-1.トップコートの塗り替え
FRP防水の表面を綺麗にして、新たにトップコートを塗り直す方法です。
FRP防水の施工から5年ほど経過している場合はトップコートの塗り替えを検討しましょう。表面のひび割れや変色などの症状が見られれば、トップコートの塗り替えが必要になります。
2-2.一部分補修
不具合が生じているFRP防水の一部を取り除いて新しく防水層を作る方法です。
剥がれや浮きが一部にある場合などに施工します。
2-3.全体張替え
既存の防水層の上に新たにFRP防水を施工する補修方法です。
全体的に劣化している場合や耐用年数よりも10年以上超えている場合などに施工します。
しかし下地に不具合がある場合は既存の防水層を剥がして下地を補強してからFRP防水を施工します。
3.メンテナンス方法
3-1.雑草が生えてきたらすぐに抜く
FRP防水の表面から雑草が生えてきた場合は劣化を進行させないためにもなるべく早めに抜いてしまうようにしましょう。
雑草が防水層の内部に侵入すると、破損や劣化の原因になります。
雑草を抜く際はなるべく根本から取り除くのがポイントです。
3-2.ドレン(排水溝)を掃除する
ベランダや屋上にはドレンと呼ばれる排水溝がありますが、ここを定期的に掃除して排水機能を維持できるようにしましょう。
ドレンが詰まって防水層の表面に雨水が溜まってしまうと劣化を早めてしまう原因になります。特に台風の後にはゴミや落ち葉等がドレンに溜まりやすいため、清掃を行うようにしましょう。
7章目:FRP防水の工事で失敗しないためのコツとは?
せっかくのFRP防水工事で失敗しないためには以下の点に注意しましょう。
1.複数者から見積もりをとる
工事の見積もりを複数者へ依頼することで、見積もりを比較しながら適正な工事費用の相場を知る事ができます。
価格が極端に高すぎたり安すぎる場合は注意が必要です。工事費用があまりにも安い場合は手抜き工事を行う悪徳業者の可能性もあります。見積もり価格が工事費用の相場よりも安すぎる場合は注意して見積もりの内訳を確認するようにしましょう。
2.資格を持つ業者へ依頼する
資格を保有している職人が在籍する業者は優良会社である可能性が高いです。防水に関する資格をもつ業者へ施工を依頼する事で安心して工事を任せる事ができます。
FRP防水を行う場合は防水施工技能士という資格を持つ業者へ依頼すると安心です。
防水施工技能士とは防水工事に関する知識と技術力があると認められた国家資格の一つです。
3.対応の良い業者を選ぶ
対応の丁寧な業者を選ぶことで安心感がありますね。
工事の内容や費用についての説明はわかりやすく詳しく説明してくれる業者は信頼できるでしょう。反対に工事内容や費用についての説明を省略したり、質問に曖昧な返答をしたりする業者はなるべく避けるようにしましょう。
8章目:まとめ
いかがでしょうか。
今回はFRP防水についてご紹介しました。
FRP防水は防水性と耐久性が高い分、他の防水工事と比べて費用はやや高くなりますがメリットも多くあります。
雨漏りは住宅の劣化を早めてしまうので、しっかりと防水工事を行うようにしましょう。
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