屋根塗装に使用する塗料と費用相場について塗装のプロが解説します。
2022.03.10
目次
1章目:屋根の塗り替えはなぜ必要なのか?
屋根は大切なお家を雨風や太陽光などから守ってくれている大切なものです。そんな大きな役割を持っている屋根は定期的にメンテナンスで塗装を行う必要があります。塗装の目的は屋根材の劣化を塗膜で防ぐためです。
屋根材が劣化したまま放置してしまうと、雨水が侵入し雨漏りを起こしてしまい、建物内部まで劣化させてしまう恐れがあります。塗装メンテナンスを怠り、屋根の内部まで劣化してしまえば塗装するだけでは手遅れになってしまい、屋根の重ね葺き工事や葺き替え工事をしなければならなくなってしまいます。そうなると結果的に費用が高額なリフォームになってしまいます。
そうならないためにも、お家の屋根は定期的にメンテナンスを行うことを忘れないようにしましょう。
2章目:屋根塗装のタイミングとは?
定期的にメンテナンスをすると言ってもどれくらいで考えればいいの?と思う方も多いはずです。
基本的には屋根も外壁と同じく築10年目が塗装の目安と言われています。しかし屋根は雨風や紫外線を直接受けているので、外壁よりも劣化が早いので注意が必要です。
さらに屋根と言っても種類があるので、屋根によっても劣化速度は異なってきます。
ここでは各屋根材の特徴と塗り替えの目安期間をご紹介いたします。
1.スレート屋根
スレート屋根には粘板岩を使用して作られた天然スレートとセメントを主成分とした化粧スレートがあります。天然スレートは耐久性も高く色褪せない性質がありますが、価格がとても高い上重量もあるので、住宅の屋根としてはほとんど使われていません。
そのため住宅に使用されるのは化粧スレート屋根になっています。
化粧スレート屋根の耐用年数は20~25年で、塗り替え目安は5~10年です。
そんな化粧スレート屋根ですが、形状や暑さによって4つの種類に分けることができます。
1-1.平型スレート
平型スレートは現在の一般住宅に多く使用されている屋根材です。コロニアルやカラーベストなどが含まれます。
安価で施工性にも優れているため、多くの住宅で使用されていますが、汚れが付着しやすく割れやすい傾向にあるため定期的にメンテナンスが必要になります。
苔や藻の付着、ヒビなどが見られたら早めに塗装業者へ相談しましょう。
1-2.厚型スレート
セメントと砂を混ぜて、厚みを持たせ瓦のような形状にしたものが厚型スレートになります。セメント瓦などがこれに含まれます。
さらにセメント瓦屋根の中に、ヨーロッパ発祥のモニエル瓦があります。モニエル瓦は近年、洋風の住宅に多く使用されている瓦になります。
モニエル瓦は表面にセメントの粉が薄く吹き付けてあるスラリー層という層があります。劣化したスラリー層の上から塗装をすると塗膜密着の妨げになるので、塗装する前にできるだけ劣化したスラリー層は取り除く必要があります。
厚型スレート屋根は塗膜が剥がれてしまうとセメントの主成分であるカルシウムが流れてしまい、ヒビや割れの原因になるので注意が必要です。
色褪せや塗膜の剥がれが見られた場合は塗装の検討をしましょう。
1-3.波型スレート
波型の形状をした化粧スレートです。主に工場などの鉄骨造の屋根に使用されます。
波型スレートの下には野地板のような下地材はなく、長い波型スレートを屋根の傾きに沿って貼っていきます。
苔や藻の付着、色褪せ等が見られたら塗り替えを検討しましょう。
1-4.石綿スレート
石綿とはアスベストのことです。20年前くらいまではスレート屋根の耐久性を高めるために、発がん成分であるアスベストが使用されていました。しかし、粉塵が呼吸器障害を起こすため公害であるとされ、2004年からは製造・使用が中止されています。
スレート屋根は劣化すると表面が脆くなる性質があるため、石綿スレート屋根の劣化を放置すると風でアスベストが飛散する恐れがあります。
さらに塗装する際にも注意が必要です。塗装する前に必ず行う高圧洗浄で屋根材の表面を削ってしまい、空気中にアスベストが飛散してしまう危険があるからです。
塗装以外のメンテナンス工事としてはアスベスト除去作業を行った後に屋根材を撤去して新しい屋根材を葺く、葺き替え工事。
既存の屋根の上に新しい屋根材を葺くカバー工法工事などが挙げられます。
お家の屋根がスレート屋根で2004年以前に製造されたものである場合は、石綿スレート屋根である可能性が高いので一度塗装業者に相談してみましょう。
2.金属屋根
金属屋根は屋根材の中で最も軽量であるため、施工がしやすく耐震性が優れています。しかし断熱性があまり無く、劣化が進むとサビが発生してしまうリスクもあります。
耐用年数は種類にもよりますが、大体10~30年と幅広く、塗り替え目安は5~10年と言われています。定期的にメンテナンスをすることにより、長持ちさせることができます。
そんな金属屋根の中にもトタン屋根やガルバニウム屋根など、種類があります。
2-1.トタン屋根
トタン屋根は軽量で安価ですが、サビやすく雨漏りが発生しやすいなどの問題があるため、現在の住宅ではあまり使用されていません。
さらにトタン屋根は耐用年数が10年ほどと短くサビが発生しやすいため、サビ止めの塗布など定期的にメンテナンスを行わなければなりません。
サビが出てきてしまうとあっという間に広がってしまうので、定期点検も必要になります。
2-2.ガルバリウム屋根
ガルバリウム屋根は軽量で扱いやすいため、現在の金属屋根の主流になっている屋根材です。スレート屋根の重ね吹き工事にも使用されている屋根材になります。
金属屋根の中でもサビにくいため、定期的にメンテナンスを行い表面を保護すれば、耐久性を維持することができます。10年を目安に塗り替えを行いましょう。
3.日本瓦
日本瓦は他の屋根材よりも強度があり、耐久性が長い屋根材になっています。
耐用年数は50~100年ほどと言われていて、基本的に塗り替え等のメンテナンスは不要になります。
ただ瓦の下の防水シートや漆喰等は瓦よりも劣化するのが早いため、定期的に点検をして劣化が見られた場合は補修が必要になります。
3章目:屋根塗装に使用する塗料と耐用年数は?
塗装する塗料の種類によって耐用年数や耐久性が異なります。
ここでは屋根の塗装に使用されることが多い塗料をご紹介します。
1.シリコン塗料
シリコン塗料は塗料の主成分である樹脂がシリコン樹脂でできている塗料のことです。 耐用年数は10~15年ほどとされています。
シリコン樹脂は無機化合物で非常に安定した性質が特徴です。
シリコン塗料は品質が良く、価格と耐用年数のバランスが良いといった特徴があります。さらに光沢保持率が高いため、光沢や艶を長期間維持させることができます。
2.フッ素塗料
フッ素塗料は蛍石を原料としたフッ素が配合されている塗料で、耐久性や耐候性が高く耐用年数は15~20年ほどです。
フッ素塗料は耐久性・耐候性以外にも防カビ性や耐熱性も高いといったメリットがあります。
性能が高い分、シリコン塗料よりも1.5倍くらい価格が高く、コストがかかってしまうといたデメリットもありますが、長期間で考えるとコスパの良い塗料と言えるでしょう。
3.遮熱塗料
遮熱塗料は熱を発生する太陽光を反射することのできる特殊な材料が入った塗料です。
太陽光をもろに受ける屋根などに使用することで屋根材の表面温度を抑える事ができ、結果的に室内の温度上昇を防ぐ事ができます。そうすることで冷房費の削減ができ、節電対策になります。
4章目:屋根塗装が必要な劣化症状とは?
ここでは屋根塗装のタイミングとなる劣化症状をご紹介します。
1.色褪せ
屋根の色褪せがみられたら、劣化のサインです。色褪せを放置してしまうと表面を保護している塗膜の効果が切れてしまいます。
屋根に色褪せや艶が無くなってきたと感じたら、このタイミングでメンテナンスの検討をしてみましょう。
2.藻や苔の発生
屋根表面の防水性が低下し、屋根材が常に水分を吸収している状態になってしまいます。そうなると湿気を好む藻や苔が発生してしまいます。そのまま放置すると屋根材自体が劣化してしまうのでなるべく早めに塗装するようにしましょう。
3.屋根材の反り
屋根が水分を吸収するようになると、湿潤と乾燥を繰り返します。そうなるとスレート屋根など薄く形成された屋根材では徐々に反り返ってしまうことがあります。
屋根材が反り返ると表面の塗装の効果は完全に切れてしまっていることになりますので再塗装が必要になります。
反りを放置してしまうと少しの力で割れてしまう状態になってしまいます。この状態まで劣化が進んでしまうと塗装ではなく、葺き替え工事やカバー工法などの工事が必要になってしまうこともあります。
反りが見られたらなるべく早めに塗装をするようにしましょう。
4.屋根材の割れや欠け
スレート屋根などは薄く成形された屋根になるので、硬いものが強風などにより衝突すると亀裂が入ってしまったり欠けたりしてしまいます。ヒビや欠けが小さければコーキングで補修することもできますが、ヒビや欠けの状態が大きかったり、複数箇所に見られるようであれば、カバー工法などの工事が必要になります。
5.棟板金の劣化
屋根は屋根材の固定や頂上の隙間を埋めるために棟板金が設置されています。この棟板金は釘で固定されているものが多いのですが、経年劣化や熱膨張により徐々に緩んできてしまい、棟板金が浮いてきてしまいます。棟板金が浮いてくると隙間などから雨水が侵入して雨漏りの原因になったり、強風で棟板金が吹き飛ばされてしまうといった恐れがあります。
棟板金は定期的に点検を行い、浮きが見られれば釘を打ち直すなどのメンテナンスが必要です。
5章目:屋根を塗装する際の工程は?
屋根塗装も外壁と同じく基本的に下塗り→中塗り→上塗りで仕上げます。
しかし初めての屋根塗装だったり屋根の劣化状態によっては下塗りを2回行う場合もあります。
ここでは屋根塗装の工程についてご紹介します。
1.高圧洗浄
苔や汚れは塗料密着の妨げになるので、時間をかけて洗い残しの無いように注意しながら洗浄します。
2.下地処理
ヒビなどがあればコーキングで補修をし、塗料の密着工場の為にケレン作業などを行います。
3.下塗り
上塗りをよくするためにたっぷり下塗りを塗っていきます。
屋根の状態に合わせて2回下塗りを行う場合もあります。
4.中塗り
塗膜を厚くするためにローラーにたっぷり塗料をつけて塗装します。
5.上塗り
ムラや塗り残しの無いように注意しながら塗装していきます。 基本的にはこの工程で仕上げていきます。
6章目:屋根塗装以外のメンテナンス方法は?
屋根は劣化を放置し続けると塗装以外の工事が必要になることもあります。
塗装以外の屋根工事には「葺き替え工事」「重ね葺き工事」の2種類があります。この2種類の工事についてご紹介します。
1.葺き替え工事
葺き替え工事は既存の屋根を全て撤去し、下地材から屋根を新しく施工する方法になります。屋根を新しく葺くのでお好きな屋根材で施工することができる、屋根の耐久性を新築の状態まで戻せるといったメリットがあります。
しかし既存の屋根を撤去する工事が必要になりますので工期が長くコストもかかってしまいます。
2.重ね葺き工事
重ね葺き工事はカバー工法とも言われる工事で既存の屋根に新しい屋根を葺いていく工事になります。既存の屋根を撤去する手間がないので工期も短く、コストも削減することができます。
新しく葺く屋根材は軽量であるので建物の耐震性に影響することはありません。
以上の2種類を屋根の劣化具合によって選択します。
重ね葺き工事がコスパもよく、おすすめの工事ですが、屋根材がボロボロで下地まで劣化が激しく見られる場合は葺き替え工事を選択する必要があります。
7章目:まとめ
いかがでしょうか。
屋根は雨風や紫外線からお家を守ってくれる大切な役割を持っているので、今回の記事を参考にしっかりと定期的にメンテナンスをするようにしましょう。
また、屋根は普段からあまり見ることのない箇所であるので、定期的に点検を行うことが大切です。
株式会社タクトでは建物診断にドローンを使用します。お家の屋根を上空から撮影することによって、劣化がどれくらい進んでいるのかを細かい部分まで確認することができます。
建物診断・お見積もりは無料で行っていますので、そろそろメンテナンスの時期かな?とお考えの方はお気軽にご相談ください。
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