雨樋に塗装が必要な理由をプロが解説
2022.08.27
雨樋は日本の住宅において設置されていないお家はないといえますが、そんな雨樋の状態を普段から気にしている方はほとんどいないでしょう。
屋根や外壁と比べると雨樋は軽視されてしまいますが、しっかりとお家のための役割を持った大切な部分です。
雨樋をメンテナンスするには塗装工事か交換工事が必要になります。
雨樋を長持ちさせるために、雨樋の劣化状態や予算に合わせたメンテナンスをすることが大切です。
今回の記事では雨樋塗装の必要性や注意点、費用等についてご紹介します。
目次
1章目:雨樋塗装の目的と効果は?
1.雨樋とは?
雨樋とは屋根の端から外壁にそって取り付けられているパイプのようなものです。
形は丸型や箱型のものなどがあります。
雨樋は屋根から流れてきた雨水を地面へと流すことで、外壁などが雨の影響を直接受けないように保護してくれる役割があります。
もしも雨樋がなければ、外壁が直接雨のダメージを受けてしまい、さらに屋根からの雨水が直接地面へ落ちることにより泥がはねて外壁を汚してしまいます。
2.雨樋の材料は?
雨樋は何でできているのか、ご紹介します。
1.塩化ビニール樹脂
塩ビと呼ばれることの多い、プラスチックの一種です。現在最も普及しているものです。
劣化しにくく燃えづらい上に安価であるため、非常にコストパフォーマンスに優れています。
経年劣化とともにしなりが悪くなってしまうため、ちょっとしたことで割れてしまったり、破損してしまうこともあります。
2.ガルバリウム銅板
屋根や外壁にも使用することのできる素材で、サビにくく軽い金属です。
金属製の雨樋の中では最も普及していますが、価格が塩ビと比べると少し高価になります。
3.アルミニウム・ステンレス
台所用品によく使用される金属ですが、雨樋に使用されるのは非常に珍しいです。
4.銅
銅独特の光沢があります。古い住宅や神社、お寺等に使用されていることが多いです。
経年劣化とともに色がついてきてしまい、さらに酸性雨にさらされ続けると穴が空いてしまうことがあります。
3.雨樋の場所ごとの名称
雨樋と言ってもパーツに合わせて名称があります。
覚えておくと便利なこともあるので、ご紹介します。
1.軒樋
横樋とも言います。屋根の下に地面と平行に設置されている雨樋です。
屋根から流れてきた雨水を受け止める役割があります。
2.縦樋
軒樋から地面に向かって垂直になっている雨樋です。
金具により外壁に固定されていて、軒樋に流れ込んだ雨水を地面まで流す役割があります。
3.集水器
軒樋と縦樋の交わる部分に設置されたお皿のようなものです。
雨樋は軒樋からこの集水器を通って縦樋に流れていきます。
4.樋持ち金具
縦樋を外壁に取り付けるための金具です。でんでんとも言います。
2章目:雨樋は劣化する?
雨樋はメンテナンスを行わずに放置してしまうと、経年劣化により耐久性が弱くなり、変色・変形・破損等の劣化症状が起きやすくなってしまいます。
雨樋の劣化が進み雨樋の役割が機能しなくなると、屋根や外壁が雨水のダメージを直接受けてしまい、雨漏り発生の原因に繋がります。
雨樋のメンテナンスの方法のひとつとして雨樋塗装があります。雨樋塗装は比較的安価でメンテナンスを行うことができますが、基本的に雨樋の不具合を塗装で解消することは出来ません。
雨樋塗装を行う目的は、あくまで雨樋の耐久性を高めるためとお家の美観性を高めるためです。
塗装をすることで雨樋劣化の原因のひとつである紫外線から雨樋を守ることができ、雨樋の色褪せや汚れを綺麗にすることでお家全体の美観性を高めることができます。
塗膜の剥がれチョーキング・色褪せ等であれば雨樋塗装でメンテナンスをすることが出来ますが、ひび割れや穴などが空いてしまった場合は塗装では修復することが出来ないので、交換工事を行う必要があります。
交換工事になると雨樋塗装よりも費用がかかってしまうため、破損してしまう前に早めに雨樋塗装を行い、耐久性を高めておくことが大切です。
3章目:雨樋塗装に使われる材料と手順
1.雨樋塗装の塗料
雨樋塗装の塗料は、屋根や外壁にもよく使用されるシリコンやフッ素系の塗料がおすすめです。
雨樋塗装は屋根や外壁の塗装と同時に行うことが一般的ですが、屋根や外壁と耐用年数を合わせることで次回の塗装工事のタイミングを合わせることが出来ます。タイミングを合わせて同時に塗装工事を行うことで足場費用も1回分で済み、お家のメンテナンス費用の節約にも繋がります。
シリコンやフッ素系の塗料と言ってもメーカーや種類によって性能や耐用年数に違いがあるため、塗料を選ぶ際は業者と相談しながら決めるようにしましょう。
ちなみに、ホームセンターなどで販売されている塗料は、アクリル系のものがほとんどのため、耐用年数は低く塗り直しの頻度が増えてしまうのであまりおすすめは出来ません。
2.雨樋塗装の手順
雨樋塗装の手順はどこの業者でも基本的に同じで以下のように仕上げます。
1.ケレン作業
ケレン作業で塗装する表面に細かな傷を付けることで、塗料が雨樋にしっかりと密着することが出来ます。
金属系の雨樋でサビが発生してしまっている場合はこのケレン作業でしっかりとサビを落とします。
2.下塗り作業
雨樋が金属製の場合は下塗りとしてサビ止めを塗布します。
縦樋を固定している金具はサビが発生しやすいので、忘れずにサビ止めを塗布します。
3.上塗り作業
上塗り作業は基本的に2回行います。1回塗りだと色ムラが発生したり十分な耐久性を持たせることが出来ないため、2回塗りがおすすめです。
ここで注意点として雨樋の内側は水が流れる場所のため、塗装をしてしまうと塗料が詰まってしまう可能性があります。
雨樋を塗る際は外側のみを塗ってもらうようにしましょう。
4章目:雨樋を塗装する塗料の種類と特徴
雨樋塗装において使用される塗料はアクリル・ウレタン系塗料、シリコン塗料、フッ素塗料のいずれかになります。塗料の種類によって単価が変わります。
ここでは各種塗料の代表的な塗料をご紹介します。
1.1液ファインウレタンU100(アクリル・ウレタン塗料)
1液ファインウレタンU100は日本ペイントから発売されていて、硬化剤を使用せずに塗装することが出来る使いやすさを重視した塗料です。セメントや金属など幅広い下地に塗装することが出来ます。
ウレタン塗料なので耐久性はあまり高くないですが、防藻や防カビ効果、防サビ効果があります。
2.1液ファインシリコンセラUV(シリコン塗料)
こちらも日本ペイントから販売されている塗料で、刺激臭が少ない弱溶剤系で塗りやすく乾燥するのが早いといった特徴があります。
外壁から鉄部まで幅広く使用することができ、強力に結合した分子構造のため美しく頑丈な塗膜を長く維持することが出来ます。
3.ファイン4Fベスト(フッ素塗料)
日本ペイントから販売されている塗料。耐久性の高い4フッ化フッ素(4F)とセラミック配合技術の組み合わせにより高い耐候性があります。
さらに非常に艶が良く優れた美観性を持っています。
雨樋はウレタン系の塗料を使用する業者も多いですが、3章目でもお伝えした通り雨樋塗装に使用する塗料は屋根や外壁を塗装するのに使用した塗料と同じグレードのものを使用するのが好ましいです。
屋根や外壁をフッ素塗料で塗装して、雨樋をウレタン塗料で塗装した場合、必ず雨樋の方が先に劣化してしまいます。そうなると雨樋のみを再塗装することになり、足場組立費用や手間などが余分にかかってしまいます。
こうならないためにも雨樋塗装の塗料は屋根や外壁の塗料と同じグレードのものにするようにしましょう。
5章目:雨樋塗装の費用相場は?
雨樋塗装の費用相場は使用する塗料の種類によっても変わりますが、大体1mあたり1,000〜1,500円ほどです。
しかし雨樋塗装はこの他にも足場組立費用やケレン費用、養生費が別途かかってくることもあります。
雨樋塗装の費用を抑えるためには、何度も言いますが屋根や外壁と同時に塗装を行うことが大切です。通常、雨樋のみを塗装する金額はそんなに高くはありませんが、雨樋塗装には足場の組み立てが必要です。
足場組立だけで雨樋塗装よりも高額な費用になってしまうため、屋根や外壁を塗装する際に建てた足場を使用して雨樋塗装を行う方法が一番良い方法です。
つまり、屋根や外壁の塗装工事と同じタイミングで次の塗装を行えるように、塗料のグレードも合わせて塗装を行う必要があります。
塗装工事を依頼する際は、どんなグレードの塗料で耐用年数はどれくらいなのかを詳しく確認しておくようにしましょう。
6章目:美観を良くする雨樋塗装の色選び
雨樋塗装の色を選ぶ際は屋根や外壁や窓サッシと同系色でまとめるのがおすすめです。
外壁と同系色であれば雨樋が目立たずに外壁と馴染むため、落ち着いた雰囲気に仕上がります。
逆にサッシや窓枠などと合わせることで雨樋が外壁のアクセントとなり、オシャレな仕上がりになります。
雨樋塗装の色を選ぶ際はお客様のイメージする雰囲気に合わせて、雨樋を目立たなくするのかアクセントにするのか決めるようにしましょう。
7章目:まとめ
いかがでしょうか。
今回の記事では雨樋塗装の必要性や注意点、費用などについてご紹介しました。
雨樋はお家を守るための大切な役割を持っているので、劣化が進み過ぎてしまう前にしっかりと塗装でメンテナンスをして耐久性をあげることが大切です。
屋根や外壁の塗装工事を行う際に雨樋も一緒に塗装してしまうことで、費用を抑えることができるため、お家の塗装を行う際は雨樋の塗装も見積もりの中に入っているのか確認してみましょう。
ひび割れや穴が空いてしまい雨樋の役割を果たすことが出来なくなると、雨樋の交換工事だけではなく、雨漏りでさらに劣化が進んでしまい追加で様々な補修工事が必要になってしまうこともあります。
定期的なメンテナンスを行いお家全体を外部ダメージからしっかりと守りましょう。
株式会社タクトでは雨樋の塗装はもちろんのこと、補修工事や交換工事も喜んで承っております。まずはお家の雨樋の状態や素材を確認させていただき、適切な施工方法をご提案させていただきます。
建物診断・お見積もりは無料で行っておりますのでぜひお気軽にお問い合わせください。
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